
2023.10.31
フローティング機構とは|バリ取り自動化に向けて知っておきたいこと
フローティング機構とは? フローティング機構とは、バリ取りを自動化するにあたって、バリ取り作業を効率的かつ精密に行うための仕組みのひとつです。具体的には、バリ取り工具を一定の力で押し付けながら動かすことで、製品に沿って滑らかにバリ取りを行う機構のことを指します。 例えば、製品の形状やサイズのバラツキによっては、単純なリジッド式(軸先固定式)の装置ではうまくバリを取り除けない場合があります。そこでフローティング機構を用いることで、バリ取り工具が製品形状に倣って動き、スムーズにバリを取り除くことを可能にするのです。 この機構の採用により、複雑な形状の製品や大きさが不規則なバリでも、効率良くバリ取りが行うことができ、特に医療機器や自動車部品など、高い精度を要求される工業製品を製作する際にもよく使用されています。 またフローティング機構は、多くの場合、スプリング(バネ)や圧縮エアを用いて動作します。これにより、工具を一定の圧力で押し付けることができ、効率よくバリを取り除くことができるのです。 フローティング機構のメリットは? フローティング機構のメリットは様々ありますが、最も大きな役割・メリットとしては「品質の向上」と「効率性の向上」が挙げられます。フローティング機構により製品に対して滑らかに切削するということは、異なる形状の製品であっても、その仕上がりが均一にまとまりやすく、不良品の発生率が大幅低下します。 またこれまでのリジッド式(軸先固定式)の場合では、製品ごとに都度、切削の圧力を調整し直す必要がありましたが、フローティング機構を用いることで、このような調整の手間が省け、製品の生産効率も大幅に向上するのです。 フローティング機構の種類は? スプリング(バネ)機構 スプリング(バネ)機構はその名の通り、バネの力を用いて刃先がX・Y方向に傾動またはZ軸方向に伸縮する機構のことをいいます。一般的なフローティング機構は、このスプリング機構が主流となっており、バリ取り自動化の拡大とともに普及しました。スプリング機構は、バネの反発力を用いて、工具を製品形状にあわせて傾動・伸縮させることが可能であることから、従来のリジッド式(軸先固定式)のバリ取り工具と比べても非常に滑らかで精度の高いバリ取りを行うことを可能にしました。 <Z方向に縮むFINESYSTEM C10-10型> 傾動・伸縮機構により、製品形状のバラツキを吸収できるため、バリ取りを行う「加工ポイント」の簡略化が可能です。リジッド式(軸先固定式)と比較し、プログラミング的な部分の手間を省くことができます。 一方で、傾動・伸縮はするものの「フロート力(バネ自体の圧力)」を途中で変えることはできないため、フロート力を変更したい部分で「バネ自体の交換作業(フロート力調整)」が発生するというデメリットがあります。また、バネによるフロート力は工具の押し付け量とともに直線的に変化するため、本来除去するべきバリをフロート力が弱すぎて取り残したり、逆にフロート力が強すぎて必要以上に製品面まで削り込んでしまったりします。 エアフロー ト機構 エアフロート機構は、バネ機構同様に刃先が「X・Y・Z」方向に傾動・伸縮する機構ですが、工具を押し付けるフロート力は、圧縮エアによりピストンを押すことで発生する推力によるものです。エアフロート機構の場合、工具を押し付けるフロート力の変更をエア圧の調整によって簡単に行えるため、先に紹介したバネ機構のデメリットを解消できます。さらにスプリング(バネ)機構の直線的なフロート力変化とは異なり、エアフロート機構ではほぼ一定のフロート力が得られます。 <X・Y方向に傾き、Z方向に縮むFINESYSTEM AF40型> FINESYSTEMのエアフロート式バリ取りアタッチメントAF型(特許第6041317号)は、押し付け圧力を自在に調整できることにより、様々な材質や一つの製品に大きさの異なるバリがある場合などでも対応可能です。段取り替えを減らせて時間短縮といった面でも大きく注目されているのです。 エアフロート機構の導入で、 「熟練工の技」をロボットで実現! 近年、工数削減や労働環境改善などの理由から、バリ取りを自動化する動きが盛んになってきました。これまでのバリ取りは、熟練工による長年の感覚や勘、適切な判断によって行われてきたものであり、その技術を自動化で再現することが困難でした。 しかし最近では、フロート機構をはじめとした技術導入により、バリ取りをロボットによって自動化しながらも、限りなく熟練工の技に近い品質を提供できるようになりました。特にこのエアフロート機構は、人間でいうところの「手首の柔軟性」のような役割を果たしており、柔軟性のないロボットの画一的な動きを人間の手作業のようにすることができ、より速く、質の高いバリ取り作業が可能となったのです。 FINESYSTEMでは、これまでバリ取り工程において課題視されてきた、高い品質要求や工数課題、作業者不足などの課題を解決するため、「熟練工レベルのバリ取り」を実現するバリ取り自動化システムおよび、バリ取りホルダやツールの開発・製作を行って参りました。 バリ取り自動化を検討しているが、どこに依頼すべきか分からない バリ取り精度は維持しつつ、「生産性向上・コスト削減」を叶えたい 作業者の負担を減らしたい 上記のような、バリ取り自動化による作業改善なら、ぜひFINESYSTEMにお任せください! >>お問い合わせはこちらから